探偵の資格<開業規定と民間資格>
実は、探偵になるために、必ず必要とされる資格はありません。
しかし、探偵業を開業をするために必要な規定や守るべき義務、持っておくと役立つ資格などはあります。以下より「探偵業の開業規定」や「役立つ民間資格」について詳しく紹介します。
浮気調査をはじめとする探偵への依頼を検討する際のポイントの1つとして、事前に知っておきましょう。
探偵業の開業規定
探偵事務所を開業するためには、各都道府県の公安委員会に届出を行い、「探偵業届出証明書」を交付してもらう必要があります。
「探偵業届出証明書」がない探偵事務所は、行政処分の対象です。
また、探偵業法にて、営業を行う上で守るべき義務や禁止事項が細かく規定されています。具体的な内容は以下の通りです。
《義務や禁止事項(探偵業法一例)》
- 契約時の説明義務
- 契約時の書面交付
- 秘密保守
- 違法行為となり得る調査の禁止 など
さらに、探偵業法によって、原則、以下の人は探偵業はできないとされています。
《探偵業ができない人(探偵業法一例)》
- 未成年者
- 暴力団の関係者
- 心身の故障によって適正な業務ができない者
- 5年以内に探偵業の営業停止または営業廃止命令に違反した者 など
探偵業に役立つ民間資格
日本調査業協会や日本探偵業協会では、探偵業を営む調査員のスキルや能力の向上を図る目的で、様々な民間資格を実施しています。
具体的な資格は以下の通りです。
- 探偵業務認定試験
- 探偵業務管理者検定
- 探偵調査士検定
①探偵業務認定試験
日本調査業協会が行っている試験で、取得すれば、業務上必要な法令諸規則の知識を有することの証明が可能です。講習を受けた後に試験を受ける形式で、基礎からしっかりと学ぶことができます。
②探偵業務管理者検定
適切な指導や営業活動を行っているかなどを証明できるもので、主に管理職や探偵事業者向けの資格です。探偵業を経営する上で、消費者に安心して利用してもらうために、とっておくと役立つ資格と言えます。
③探偵調査士検定
探偵業の届出を行った人が対象の試験で、調査に必要なスキル(張り込みや撮影など)が一定レベル以上であるか、関係法令の知識が十分であるかどうかを証明できます。なお、探偵業の届出をしていなくても受験することは可能です(認定証は届出の後に発行されます)。
探偵は、専門的な資格が必要なく、素人でも規定さえ満たせば開業できる職業です。しかし、身近であるがゆえに、悪質な探偵業者も一定数存在しています。
ここからは、悪質探偵業者のトラブル事例の一例を紹介します。
悪質探偵業者のトラブル事例
見知らぬ業者からの突然の連絡や訪問
以前、未公開株を購入し、被害に遭ったことがある。ある日、
知らない探偵業者から電話があり「被害調査費用はかかるが、 被害金を取り戻すことができる」と勧誘された。 取り戻せるならと思い、約20万円を支払った。その後、 業者から被害回復には、さらに詳しく調査する必要があるので、 あと約15万円必要だと言われた。 費用を振り込もうと銀行に行ったところ、 不審に思った銀行員と警察官に振り込みを止められた。(2010年12月 80歳代 女性) 出典:国民生活センター
上記の例では、具体的な契約や調査内容が説明されておらず、口頭での契約になってしまっています。調査を依頼する場合には、必ず契約書を交わすようにしましょう。探偵業法で、契約時の書面交付は義務となっているので、万が一、断られた場合は悪質な探偵業者である可能性が高いと言えます。
また、電話などで勧誘があった場合は、すぐに契約してしまうのではなく、一旦電話を切って冷静に考えることが大切です。
「無料相談」「解決可能」のはずが、有料の企業調査だった
スマートフォンを触っていたら、アダルトサイトに登録となり15万円を請求された。アダルトサイト業者に「支払いたくない」と電話したが拒否されたので、インターネットで検索した「無料相談可能」という窓口に電話で相談した。 電話に出た男性からは「支払いを止められる」「絶対に解決できる」と言われた。また「このままだと会社に嫌がらせがある」「裁判にもなる」とも言われ不安になり、依頼することにした。 無料と思っていたが、料金は64,000円とのことだった。「お金がない」と伝えたところ、先に半額だけでも支払うように言われ、コンビニの ATM から送金した。 4 日後にビルの写真 2 枚と、アダルトサイト業者自体の確認は取れなかったとの報告書が届いた。あらためて契約書を読むと、依頼した内容が「企業調査」だと知った。解決できると言われて契約したのに、説明と違うので返金してほしい。 (受付年月:2016年4月、契約当事者:20歳代女性・北海道)
出典:国民生活センター
上記は、契約書を細部まで確認できていなかったことで、発生してしまったトラブル事例です。契約を一度結んでしまうと、取り消すことが難しくなるので、契約する前の内容確認を徹底しましょう。
また、「会社に嫌がらせがある」「裁判になる」など不安にさせるような発言をする探偵事務所は危険な探偵業者である可能性が高いと言えます。
高額な契約を結ばせる
3年前、先物取引で約1,000万円の損をした。調査会社を名乗る業者からお金を取り返してあげると言われ、費用として4回にわたり合計約600万円を支払った。なかなかお金が戻ってこないので、知人に話したところ、だまされているのではないかと言われた。お金を取り戻してくれないのなら、調査会社に支払った約600万円を返金してほしい。 (2009年9月 80歳代 男性 千葉県 自由・自営業)
出典:国民生活センター
上記の事例では、調査会社を名乗る業者を疑わなかったことが原因でトラブルが発生しました。知らない業者や聞き覚えのない業者をすぐに信用してしまうと危険なことが分かります。
3つのトラブル事例を紹介しましたが、被害に遭った場合は一人で解決しようとするのではなく、最寄りの消費者生活センターに相談することがおすすめです。
消費者生活センターでは、無料で相談できることはもちろん、同じような被害に遭った人たちを救ってきたプロが対応してくれます。
最寄りの消費者生活センターを確認し、受付時間に相談窓口に行く、もしくは電話で相談するようにしましょう。

まとめ
- 探偵をするために必須となる資格はない
- 探偵業を開業するためには、公安委員会に「探偵業届出証明書」を交付してもらう必要がある
- 探偵業を行う上で「探偵業法」を守らなければならない
- 役立つ民間資格は「探偵業務認定試験」「探偵業務管理者検定」「探偵調査士検定」など
- 探偵業は身近な職種であるが故に、悪質な探偵業者も多く存在する
- 探偵事務所とのトラブルは、最寄りの消費者生活センターに相談する