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浮気が原因で離婚した場合の子の親権は?
浮気が原因で離婚した場合、浮気をした側は親権を奪われるのでしょうか。
今回は、浮気をした場合に親権の取得はどうなるのか、揉めた場合の親権者決定の流れや裁判所の判断基準、親権を取得するために意識したいこと5選を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
浮気をしても親権の取得は可能
浮気をした・しないに関わらず、親には平等に親権を取得する権利があります。
浮気問題は夫婦間の問題なのに対して、親権問題は親子間での問題になるので、意外かもしれませんが、全く別の問題として扱われます。
お互いに親権を主張する権利があるので、浮気・不倫が原因で離婚をする際に、浮気をしていた側とされた側で、どちらが親権を取得するか?で揉めることが多々あります。
まずは、親権取得を争う場合の流れを見ていきましょう。一般的には、以下の流れで親権者を決定します。
浮気が原因で離婚した場合の親権者決定の流れ
この場合、親権者を決定する流れは以下の通りです。
- 話し合って親権者を決める
- 家庭裁判所に調停を申し立てる
- 最終的に裁判で親権者を決定する
①話し合って親権者を決める
最初の手段として、夫婦での「話し合い」が行われます。ただ単に話し合うのではなく「言った・言わない」の問題を避けたり、冷静に話し合ったりするために、以下の方法がおすすめです。
▼トラブル回避のための話し合い方法
- 共通の友人、知人に同席してもらう
- 弁護士に同席してもらう
- 話し合う内容を録音・メモする
話し合いで親権者を決められなかった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる流れになります。
②家庭裁判所に調停を申し立てる
離婚を視野に入れて申し立てる場合は「夫婦関係調整調停」を利用しましょう。申し立てに必要な費用は収入印紙1,200円や郵便切手、戸籍謄本(全部事項証明書)コピーなどを含めて、約5,000円です(弁護士費用は別途かかります)。
「夫婦関係調整調停」では、調停委員が父親・母親それぞれから、現状や希望を聞いて仲介します。2人の希望条件などを調整していき、夫婦がお互いに調停案に合意することで調停成立となり、親権者が決定されます。
調停成立の見込みがない場合は調停不成立となり、親権者が決まらないまま終了することもあります。
※夫婦関係調整調停については、裁判所のホームページに申立先など詳しい情報が掲載されています。
③最終的に審判で親権者を決定する
話し合いや調停でも親権者が決まらない場合には、裁判所で最終的な親権者を指定してもらいます。親権者を決める裁判を申し立てたり、離婚訴訟の中で親権を争ったり…など、進め方は人それぞれです。
裁判所が親権者を決める際、どのような内容を重視するのでしょうか。
裁判所が親権者を決める際に重視すること
裁判所が親権者を決定する際に重視することは「子が健全に成長できる環境があること(子の利益)」です。
具体的には、以下の4つの項目で総合的に判断されます。
- 継続性の原則
- 子の意思の尊重
- 母親優先の原則
- 兄弟姉妹不分離
継続性の原則
現在の子供の生活環境が安定している場合、現状の状況の維持を優先するのが「継続性の原則」です。
裁判所では、親の事情で子供を学校等の友人から遠ざけたり、生活環境が大幅に変わってしまうと、子供に悪影響を及ぼす可能性があると考えられているため、「継続性の原則」が重視されることが多いです。
子の意思の尊重
子供の意見に従わなければならないという法律上の規定はありませんが、子供の年齢が15歳以上になると、子供自身の意見が重視されます。
また、10歳以上であれば、子供の意見を聴取することになっていますが「他者から影響を受けているような発言」「真意ではない発言」と認められた場合は、その意見は重視されません。
母親優先の原則
親権者を判断する基準の一つに、子供を産む際の精神的・身体的苦痛や、乳児の育成に必要な授乳などを考慮した「母親優先の基準」があります。優先基準は子供の年齢によって異なり、年齢ごとの親の有利・不利状況は以下の通りです。
▼子供の年齢ごとの親の有利・不利状況
- 0~2歳児:母親が有利(授乳が必要などの観点から)
- 4歳以上:基本的に母親が有利だが、父親が親権を取得する可能性も出てくる
- 15歳以上:子供自身に決定権があるので、母親と父親どちらが有利ということはない
0~2歳児の乳幼児の場合は、授乳等の観点から母親が有利ですが、子供が4歳以上の場合でも、子供の養育(病気の看病や学校行事の参加など)で母親が携わることの方が基本的に多いため、母親の方が有利です。
ただし、子供の年齢が15歳以上の場合は、子供自身に決定権があるので、どちらの親が有利ということはありません。
基本的には「母親優先の原則」によって母親が有利となっていますが、以下のようなケースであれば、母親の親権取得が難しくなる場合もあります。
▼母親の親権取得が難しくなる場合
- 育児放棄をしていた
- 子供と同居していない
- 子供に虐待をしていた
- 浮気・不倫相手と一緒に住んでいる
母親が有利だからと諦めてしまうのではなく、父親が自分の方こそ親権者にふさわしいと判断した場合は、自信を持って親権を主張しましょう。
そうすることで、子供の幸せを守ることにもつながります。
兄弟姉妹不分離
兄弟姉妹の親権取得の際に重視されるのが、兄弟を離れさせない「兄弟姉妹不分離」です。
裁判所では、兄弟姉妹は喧嘩したり、励まし合ったり、お互いに影響を与えながら成長するので、一緒に暮らしている方が子供たちにとって利益があるという考えを持っています。
しかし、「子の意思の尊重」が優先された場合や一定期間別居しており「継続性の原則」が優先された場合は「兄弟姉妹不分離」の優先度が低くなることがあります。
浮気が原因で離婚した場合に親権を取得するためにできること5選
親権を取得するためにできることは以下の5つです。
- 養育の実績を積む
- 離婚後にも元親(母親・父親)との交流を積極的に行うと主張する
- 日頃から子供とコミュニケーションをとる
- 子供と別居しないようにする
- 探偵事務所に相談する
養育の実績を積む
子供を安定して養育してきたか?の実績は、親権者を決定する際に重要なポイントとなります。
裁判所は「継続性の原則」によって、離婚が原因で子供の養育環境が変わることを避ける傾向があるため、今まで養育に携わってきた実績が少ない方を親権者と決定する確率は極めて低いと言えます。
また、周囲に養育をサポートしてくれる人がいることを証明できれば、さらに効果的です。
離婚後にも元親(母親・父親)との交流を積極的に行うと主張する
裁判所には、離婚後も子供と元親(母親・父親)との交流を絶やさない方が子供の利益になるという考えがあります。
浮気・不倫をした相手と子供を会わせたくない気持ちはもちろんあるとは思いますが、交流を認めると主張すると、子供のことを考えていると判断され、親権を取得できる可能性が高まります。
日頃から子供とコミュニケーションをとる
親権者を決定する際に「子の意思の尊重」があるので、日頃からの子供とコミュニケーションを欠かさないことが重要になってきます。
仕事が忙しくてなかなか会えないなど、子供と接する時間が少ない場合は、親権者に選んでもらえないことも考えられます。
ただし、子供の意見はあくまでも参考なので、子供に全ての責任を押し付けないように注意が必要です。
子供と別居しないようにする
親権を取得したい場合、子供と別居することがないように注意しましょう。
繰り返しになりますが、裁判所では「継続性の原則」によって、子供が現在生活している環境の維持を優先しようとします。
万が一、浮気・不倫などが原因で子供と別居していた場合、子供と同居している相手に親権を取得される可能性が高いです。
探偵事務所に相談する
「裁判を申し立てたいが不安が大きい」「有利に話を進めるためにはどうすれば良いのか分からない」などの場合は、一度、探偵事務所に相談することをおすすめします。
探偵事務所では、子供の利益を害するような証拠(子供に対する虐待行為や、子供を連れて浮気相手と同居している証拠など)を見つけられるように、代表的な浮気調査以外にも、所在調査や素行調査など様々な調査を実施しています。
離婚を視野に入れている場合は、

まとめ
- 浮気をしても親権を取得することは可能
- 浮気が原因で離婚した場合の親権者を決定する流れは「①話し合い」「②調停」「③裁判」
- 裁判所が親権者を決める際に重視することは「子が健全に成長できる環境があること(子の利益)」
- 裁判所が重視する項目は「継続性の原則」「子の意思の尊重」「母親優先の原則」「兄弟姉妹不分離」
- 浮気が原因で離婚した場合に親権を取得するためにできることは「養育の実績を積む」「元親と子供が会うことを承認する」「日頃から子供とコミュニケーションをとる」「子供と別居しない」「探偵事務所に相談する」